2025年12月12日
世界中の素晴らしい動物たちとの出会い
Meeting with wonderful animals around the world
December 30, 2025
インドネシア海外研修 ≪ジャワ~スラバヤ班≫
COUNTRY Indonesia/インドネシア
📝インドネシア研修報告
研修地: グヌン・ハリムン・サラク国立公園、タマンサファリ・プリゲン、スラバヤ動物園
研修期間:10月20日~26日
インドネシア研修旅行に行ってまいりました🇮🇩グループ構成は、バーデンと日本ペット診療所スタッフの計10名です。
インドネシアでの研修を通して、保護施設や動物園の皆さまとの交流をはじめ、たくさんの貴重な経験をさせていただきましたので、その様子をご紹介します。


1日目:インドネシアへ出発!✈️
成田空港から日本航空で7時間のフライトを経て、スカルノハッタ国際空港に夕方到着しました。
手荷物受取所のすぐ近くにはインドネシアの動物検疫所があり、大きな作りになっているのが印象的でした。
この検疫所はペットリロケーション部門のお客様のペットが輸入検疫を受ける施設で、外観や位置を確認できたので、今後の仕事に活かしていきたいです。

スカルノ・ハッタ国際空港から車で3時間かけてハリムンサラク国立公園に移動します。
途中、パーキングに寄り、ベベック(アヒル)料理のお店で夕飯をいただきました。初めてのインドネシア料理、ナシゴレンやソトを食べましたが、どれもおいしかったです。
さらに1時間ほど車で移動し、ハリムンサラク国立公園に到着です。
到着後すぐ、国立公園のスタッフが野生のカエルと蛇を捕まえて見せてくださり、私たちもハンドリングさせていただきました。
宿泊するゲストルームまでの道のりは、山道や吊り橋を通るため荷物を抱えて歩くのは大変でしたが、大自然に囲まれた環境で泊まることができ、研修の始まりとしてとてもワクワクしました!




2日目:グヌン・ハリムン・サラク国立公園とジャワ野生生物・生態系研究センターの活動見学🦅


グヌン・ハリムン・サラク国立公園(GHSNP)は、ジャワ島西部に広がる大規模な熱帯雨林を保全する目的で設立されたインドネシアの国立公園です。
1992年に国立公園に指定され、当初40,000ヘクタールであった総面積は、2003年の法令改正により113,357ヘクタールに拡張されました。
ハリムン山とサラク山を有し、低地林~亜高山帯までの垂直方向に広がる多様な植生帯により、多様な生物相を見ることができます。264種もの鳥類が生息しており、猛禽類16種を含む、32種がジャワ島固有種です。
朝食のあと、スタッフの方からプレゼンテーションがあり、グヌン・ハリムン・サラク国立公園(GHSNP)内の生態系や、ジャワクマタカ・ジャワヒョウ・ジャワテナガザルの3種を中心とした保護活動の取り組みについて、紹介していただきました。また、GHSNPと連携して活動しているジャワ野生生物・生態系研究センター(PSSEJ)についての猛禽類保護・リハビリテーションの活動や繁殖プログラムについても紹介があり、ジャワクマタカの繁殖過程や雛の成長過程、実際の活動内容を紹介するビデオも見せてもらいました。
繁殖ゲージの作り、やり方はとても古い方法をとっていることに驚きました。先進的な繁殖方法や人工受精の可能性も提案させていただき、深いセッションをすることができました。



昼食を挟んだ後、傷病個体の飼育ケージを見学させていただきました。狩猟や密輸によって怪我をした個体が保護されており、現在行っている治療やリハビリのプロセスをお聞きして我々が知りうる方法をアドバイスさせていただきました。
センターに戻り、翌日放鳥予定のカンムリワシに識別用の青いカラーをつけ、輸送用クレートに入れる作業を見学しました。その後、生体チーム3人が翌日の放鳥場所まで輸送し、ケージに移す作業の見学もさせていただきました。






その後、スタッフの方と少し山を登り、国立公園内で採れる食用植物や薬草について効能や使い方の案内を受けました。実際に食べさせていただき、現地の人々が自然をどのように利用しているかを、体験を通して感じることができました。
夕食後は、スタッフと夜の生き物観察に行き、ジャワ固有種のカエルやキノボリトカゲ、ハナナガムチヘビ、ジャワヨタカ、コーカサスオオカブトのメスなど、多くの生き物に出会うことができました!
3日目:カンムリワシの放鳥とYayasan IAR Indonesia訪問🦅
朝から国立公園スタッフが運転する車に乗せていただき、前日に青いマーカーをつけたカンムリワシの放鳥が行われる場所まで移動しました。最初にGHSNPとPSSEJのスタッフの方々と挨拶を交わし、放鳥式では社長がケージの糸を切って扉を開ける作業に参加させてもらいました。 放たれたカンムリワシはしばらく森の上を大きく旋回したあと、やがて見えなくなりました。森には餌が豊富にあるため、しばらくこの周辺で過ごすだろうと教えてもらいました。放鳥式後にも野生のジャワクマタカが悠々と旋回して飛ぶ姿を確認でき豊かな森である雄大な景色を見て感じることができ、とても貴重な体験となりました。





放鳥式の後、グヌン・ハリムン・サラク国立公園のご厚意より、Yayasan International Animal Rescue Indonesia(YIARI)をご紹介いただき、日本ペット診療所のスタッフで急遽、訪問させていただきました。
YAIRIはイギリスを本部とする国際的な動物保護団体IAR(International Animal Rescue)のインドネシア拠点であり、特にスローロリスを中心とした小型哺乳類の保護・リハビリ・野生復帰の分野で世界的に有名です。
YAIRIでは、違法ペット取引や電線事故、生息地の喪失等により保護された個体を収容し、医学的ケア、行動回復、森で生きるためのリハビリテーション、野生復帰プログラムを体系的に行っており、施設は研究と保全を両立させた拠点として高く評価されています。
スローロリスとカニクイザルそれぞれのリハビリケージがあり、訪問当日は施設の見学に加えて、現地獣医師から直接保護の現状や保護したスローロリスの健康状態等について説明を受けることができました。
環境エンリッチメントが充実しており、樹木やおもちゃの設置だけでなく、給餌には穴あきペットボトルや吊り下げ敷きエサ入れを使用し、自然な採食行動を引き出す設計がされていました。







夕食後は、再び夜の生き物探しに出かけました。野生のカエルをはじめ、なんと9匹ものヘビを見つけるという大収穫!中でも、珍しい黄色いハナナガムチヘビを見つけたときは大盛り上がりでした。またPhrynoidis asper という学名のヒキガエルを見つけ、転がすと動かなくなるという不思議な習性を間近で観察することができ、とても印象に残る体験でした。



4日目:スラバヤへ移動 🐊
国立公園のスタッフの皆さんとお別れをし、スカルノ・ハッタ国際空港まで約3時間車で移動しました。空港に到着後、昼食にアヒル料理のお店へ行きましたが、どの料理もとても辛く、私はほとんど食べることができませんでした。
その後、スカルノ・ハッタ国際空港からガルーダ・インドネシア航空を利用し、約1時間半かけてジュアンダ空港へ国内線で移動しました。
夜は、ホテルの近くにある食べた分だけ料金を支払う方式のパダン料理をいただきました。スタッフの方に辛くない料理を教えてもらいながら、美味しく食べることができました。

5日目:タマンサファリ・プリゲン 🐘
ホテルから車で約1時間半かけて、タマンサファリ・プリゲンへ向かいました。道中では、サファリゾーンでのエサやり用にニンジン、バナナ、スイカを購入しました。
サファリゾーンでは、ベンガルトラやライオンのエリアで、回転式のエサ入れに肉を入れて採食エンリッチメントを行っている様子が見られました。エサ入れを転がして食べる姿を観察することができました。
また、ラマやシカ、シマウマ、エランドなどの草食動物には、事前に購入したニンジンやバナナを与えることができ、カバにはスイカをあげる体験もできました。サファリゾーンはとても広く、約2時間かけて回りました。
サファリゾーンを通過し、車を降りた後は鳥類展示エリアを訪れました。そこでは、ヤシオウム、オオハナインコ、アカビタイムジオウムなどを間近で観察できました。昼食後にはイルカショーを鑑賞しました。
その後、オーストラリアエリアに移動しました。オーストラリアエリアでは、ワラビーやカンガルーが放し飼いにされており、人馴れをしていて寄ってくるので、カンガルーとワラビーの毛質の違いを触って学ぶことができました。
生後6か月ほどのコゲチャヤブワラビーの赤ちゃんを抱っこさせてもらいました。インドネシア領パプアに生息する種類で、体は小さいものの、足の力が強く、足を押さえながら支える必要がありました。
さらに、バードショーも観覧しました。インドネシアに生息するさまざまな鳥たちが、飼育員さんの指示に従ったり、空中でエサをキャッチしたりと、それぞれの特徴を活かしたレベルの高いパフォーマンスを披露してくれました。
合計で約6時間タマンサファリに滞在しましたが、全てを見て回ることはできず、その規模の大きさを改めて実感しました。












スラバヤまで再び約1時間半かけて戻り、到着後はシーフードレストランへ行きました。食べたい魚やカニ、貝を選び、好みの味付けでその場で調理してもらうスタイルのレストランで、マングローブガニやイエローテールなどをいただきました。
6日目:スラバヤ動物園🐅

スラバヤ動物園を訪問しました。入園してまず目に入ったのは、数多くのコモドドラゴンたち。スラバヤ動物園は1990年代からコモドドラゴンの繁殖プログラムを進め、数多くの成功を収めています。繁殖は展示場内で行われているとのことで、バックヤードを持つ日本の動物園との違いを感じました。
その他にも、スラバヤ動物園ではインドネシアにおいて保全を優先される25種のうち、17種を飼育しています。人間活動による生息地減少で絶滅の危機に瀕する種の生息域外保全に積極的に取り組んでおり、コモドドラゴン、テングザル、バビルサ、アノア等の繁殖にも成功している動物園です。
園長およびスタッフの皆さまとお会いし、施設内の会議室にてスラバヤ動物園の歴史や、飼育・展示している動物の種類、繁殖に関する取り組みなどをスライドを用いてご紹介いただきました。 私たちからも、弊社の業務内容や活動についてスライドでご紹介させていただきました。
スタッフの方とお話する中で、コモドドラゴンの繁殖において孵卵器の卵が腐ってしまう等、トラブルがあるとお聞きし、日本での私達の経験から爬虫類の繫殖に関わるアドバイスをお伝えさせていただきました。
日本と比較するとインドネシアでは手に入る飼育用品や獣医療用品が限られる為、今後、技術面だけでなく、物質面でも動物達の飼育環境や獣医療を発展させていく可能性があり、とてもワクワクしました。


昼食後には、広報用のビデオ撮影への協力を依頼され、園内のさまざまな動物の前で動画撮影を行いました。 撮影の際には、飼育員の皆さまが動物たちの特技や行動を丁寧に紹介してくださいました。
たとえば、ゾウに向かって手を挙げると鼻を上げて挨拶する様子、飼育員さんが走ると後を追って走るベンガルトラ、掛け声で集まってくるコモドドラゴン、名前を呼ぶと水中から顔を出すカバなど、展示動物と飼育員さんの間に築かれた親密なコミュニケーションを感じました。



スタッフの皆さまは非常に温かく、日本から来た私たちを大歓迎してくださいました。帰り際にはお土産までいただき、温かいおもてなしに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
訪問後は、スラバヤのジュアンダ国際空港へ移動し、ガルーダ・インドネシア航空で約1時間半かけてスカルノ・ハッタ国際空港へ。 その後、夜発の便で成田空港へ向けて出発し、約7時間のフライトで帰国の途につきました。
まとめ:
インドネシアの動物園では、国内に生息する多くの動物が飼育・展示されており、その生物多様性の豊かさを改めて実感しました。
島ごとに異なる環境の中で、多様な鳥類や哺乳類が暮らしており、特にパプア地方では、有袋類などオーストラリアの動物相に近い種も見られます。
そのため、動物園でもヒクイドリやワラビー、カンガルーなどが多く飼育されており、インドネシアという国全体が、多様な生き物を育む豊かな生態系を形成していることを感じました。
また、現地でのコミュニケーションにおいては、英語がほとんど通じなかったため、翻訳アプリを活用しながら英語やインドネシア語でやり取りを行いました。お互いに英語が母語ではないからこそ、伝わらない場面でも丁寧に言い直してくださるなど、インドネシアの方々の謙虚で優しく、親しみやすい人柄を感じました。
今回の研修を通して、動物だけでなく人の温かさにも触れることができ、とても貴重な経験となりました。
